ヒヤリハットの活かし方

ヒヤリハットとは「事故にはならなかったものの、ヒヤリとした、もう少しで危なかった」という体験と、それを他者に伝えることで危険を回避するためのスキルです。例えば、飲食店を出ようとした時、段差に気づかずひっくり返りそうになった。それを後から出てくる人に伝えることにより、その人は段差につまずかすに済んだ。店の人に伝えると「段差があります。注意」と貼り紙をしてくれた。これなどは日常生活におけるヒヤリハットと言えます。介護の現場であれば、次のような例があげられます。

「利用者とともに電車から降りる際、利用者が貴重品の入った鞄を座席に置いたまま降りようとした。周りの乗客が声をかけてくれたおかげで、気づくことができた」このようなヒヤリとした体験を他の介護者に伝えることで、他の介護者の時も忘れ物を減らすことができます。また、研修を行い「バスや電車などで一定時間座った場合、そこを離れる時に必ず後ろを振り返る習慣をつける」ということをルール化すれば、介護者個人としても、事業所としても「外出中の忘れ物」を大きく減らすことができ、介護の質を高めることができます。

ここまで読んで「なんだ、そんなことか」と思われた人もいるかもしれませんが、実際の介護の現場では難易度の高い介護技術よりも「何かした後は、必ず振り返る」や「出会った瞬間に利用者の顔色を観察する」などの事故防止につながる細かい習慣を身につけておくことの方が役に立つことが多いです。